
ナレーション収録のディレクションは、静かな環境を用意した上で「もう少しゆっくり」「一文ずつ区切って」といった具体的な指示を出し、3〜5テイクを目安に録り直すことが基本です。非俳優が読む以上、一発で完璧な読みを求めず、部分ごとに録り直しながら組み合わせる前提でディレクションすると、無理なく自然な仕上がりに近づけます。
内製化を進める中で、社員がナレーションを読む機会は意外と多く発生します。
プロのナレーターと違い、慣れない社員が読むと棒読みになったり、緊張で早口になったりしがちですが、ディレクション側の工夫次第で仕上がりは大きく変わります。
ナレーション収録のディレクションのコツは?

最大のコツは、抽象的な感想ではなく「間を1秒空けて」「ここだけもう一度」のように、具体的で行動に落とし込める指示を出すことです。
避けたい指示 → 言い換え例
- ✓「もっと感情を込めて」→「ここは笑顔を浮かべながら読んでみてください」
- ✓「聞き取りにくい」→「文の最後の言葉をもう少しはっきり発音してください」
- ✓「もっと自然に」→「読んでいる相手を1人思い浮かべて話しかけるように」
感覚的な言葉は非俳優にとって「何をどう直せばいいか分からない」状態を生みやすく、結果的にテイク数だけが増えてしまいます。次の章から、環境づくりや具体的な指示の出し方を詳しく見ていきます。
収録環境はどこまで整えればいいか

本格的な防音設備は不要ですが、部屋の反響を抑えるために布や毛布のあるスペースを選び、エアコンや換気扇などの雑音源は事前に止めておくことが最低限必要です。
会議室のような硬い壁に囲まれた部屋は音が反響しやすく、収録後に「なんとなくこもった音」になりがちです。
カーテンのある部屋や、衣装ケース・段ボールを周囲に置くだけでも反響はかなり軽減できます。特別な防音室を用意する必要はありません。
収録前には必ずマイクだけをオンにして数秒間の無音を録り、エアコンの音や外の交通音が入っていないかをヘッドホンで確認するのがおすすめです。
読むスピード・息継ぎで気をつけるポイントは

緊張している話者は無意識に早口になりがちなので、「普段話す速度の8割くらいで」という具体的な基準を伝え、句読点ごとに一呼吸置くよう意識させるとちょうどよくなります。
文章の途中で息継ぎの音が大きく入ってしまう場合は、息を吸う位置をあらかじめ台本にスラッシュ(/)で書き込んでおくと、収録がぐっとスムーズになります。
一文が長い場合は、無理に一息で読み切らせず、意味の区切りで台本自体を短い文に分けてしまうのも有効な工夫です。
収録は何テイクくらい見ておくべきか

初めてナレーションを読む社員であれば、1つの原稿につき3〜5テイクを目安に、時間にして通常の読み上げ時間の3〜4倍程度を収録枠として確保しておくと安心です。
最初の1〜2テイクは声の出し方や口の慣らしと割り切り、「練習のつもりで一度通しで読んでみましょう」と声をかけてから本番に入ると、話者の緊張が和らぎ結果的に良いテイクが早く取れます。
全体を通しで録るだけでなく、一文・一段落ごとに区切って録音しておくと、後から気になった箇所だけを部分的に録り直しやすくなります。
棒読みにならないための簡単な指示の出し方

棒読み対策には、原稿の中で最も伝えたい単語に丸や下線をつけて「この言葉だけ少し強調して」と伝える方法が、非俳優にも実践しやすくおすすめです。
「全部を頑張って読む」のではなく「1文に1箇所だけ強調する」
文章全体に均等に力を入れようとすると、かえって抑揚のない読み方になりがちです。強調する言葉を1文につき1つに絞ることで、自然なメリハリが生まれます。
初心者ナレーターがやりがちな失敗とは

初心者にありがちな失敗は、緊張から早口になること、文末が尻すぼみになること、そして原稿を目で追うことに必死で感情が置き去りになることの3つです。
文末に向かって声が小さくなり、聞き取りづらくなってしまう。
「文の最後の言葉ほど大きめの声で」と事前に伝えておくだけで改善しやすい。
原稿は目線を大きく動かさなくても読めるよう、1行を短めに改行しておくだけでも、読みやすさと聞き取りやすさが変わってきます。
収録後にできる微調整・編集での救済方法

収録後は、テイクの中から良い部分だけをつなぎ合わせる「イイとこ取り編集」と、音量・スピードの微調整で、多少のムラは編集段階でも十分カバーできます。
一文ごとに複数テイクを録っておけば、編集ソフト上で最も自然に聞こえる箇所同士をつなぎ合わせることが可能です。
ただし、音の高さやテンポそのものを編集で大きく変えると不自然さが強く出るため、収録時点である程度そろえておくことが前提になります。
よくある質問
Q. ナレーション収録のディレクションのコツは?
A. 抽象的な感想ではなく、「間を1秒空けて」のような具体的で行動に落とせる指示を出すことが一番のコツです。数値や動作で伝えると、非俳優でも修正しやすくなります。
Q. 社員が緊張してうまく読めません。どうすればいいですか?
A. 本番の前に「練習として一度通しで読んでみましょう」と声をかけ、練習テイクを挟むだけで緊張はかなり和らぎます。
Q. マイクや機材はどこまでこだわるべきですか?
A. 最初は高価な機材より収録環境の静かさと反響対策を優先しましょう。数千円台のUSBマイクでも、静かな環境であれば十分聞き取りやすい音質になります。
まとめ
ナレーション収録は、環境づくりと具体的な指示の出し方次第で、非俳優でも十分に聞きやすい仕上がりにできます。
ムビ楽では、ナレーションディレクションのコツも含めた実践的な編集レクチャーを行っています。